喧嘩最強男子の溺愛

「私の本当の気持ち言うね」

ああ、声が震える。どうしよう。涙で視界がぼやけてくる。

「うん。ちゃんと聞きたい」

「郁人の好きな人が私じゃないって分かったから、悲しくなった」

「どうして俺の片想いの相手が帆乃香じゃないって思ったの?」

「だって去年の冬からずっと片想いしてるって」

「そうだよ、冬休みの頃からずっと気になってた人」

「私、郁人と出会ったの春だったから」

「で? 悲しいのはどうして?」

「私、いつの間にか郁人が好きになってたの。でもフラれちゃったから。郁人、こっち見ないで。私、泣く」

とうとう告白しちゃった。もう、郁人の側には居られなくなったんだね。

「俺、帆乃香のこと振ってないよね?」

「ふえっ、だって、だってさ、郁人の好きな人は私じゃないんだもん。もう、いやだ」

「帆乃香、さっきの俺の言葉を思い出して。俺は好きな子にしか優しくしないんだよ」

「郁人が何を言いたいのか分からないってば」

「ああー、もう! 帆乃香の鈍感! こんなに俺の気持ちを前面に出して帆乃香と一緒に居るのに。なんで気付かないんだよ、俺の気持ち」

「冬から好きな人って、私のことじゃないもん。郁人ぉ、好きでした。好きだった。うわーぁん。もう郁人とさよならなんだね、ふぇっ、ぐすん」

「鈍感! バカ! もう泣かないで」

郁人はそう私に言って、ぎゅっと、苦しくなるくらいの力で私を抱きしめた。

「俺、帆乃香のことが大好きだ。俺もいつの間にか帆乃香が大好きになってた」

郁人? それ、本当なの? 郁人が私のことを、好き?

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