喧嘩最強男子の溺愛

「もう、有希が行っちゃったでしょ」

「帆乃香のせいだろ。変なこと言うから。なんだよ、元カレがいるなんて聞いてねぇし」

「そんな、元カレって言えるほどのお付き合いじゃなかったし。私の初恋は郁人なんだから、それじゃダメなの?」

「ん。ダメじゃない。帆乃香の初めては全部俺だからな。覚悟しとけよ」

うわ。郁人がそんなことを言うなんて。

色々な想像をしてしまって顔が熱くなる。

「なに、赤くなってんの。それがイヤなら帆乃香と付き合うの考えちゃうなぁ、俺」

「イヤじゃない。全部郁人がいい」

「よし!」

なんか急に郁人の言動が積極的になって、混乱する。

郁人と朝食を食べている時に、谷口さんが私たちのテーブルへやってきた。

「あなたたち、付き合うことにしたんだってね。何なのよ、昨日聞いた時はそんなんじゃないって言ってたのに。騙されたわよ」

「谷口さん、ごめんなさい。私も勇気を出して郁人に告白したの。告白もしないで郁人の側にいるなんて、ずるいもんね」

「何よ! こっちは玉砕したんだから。ああ、バカらしい」

怒っている谷口さんに対して、郁人が

「ありがとう。谷口さんのおかげで帆乃香の気持ちが聞けたよ。俺の片想いを両想いにしてくれた恩人だな」

郁人! それって余計に怒らせちゃうやつだから。

「しっ、島田! ふざけんな!」

谷口さんは郁人に向かってキレて。

「ふんっ!」って言って私たちから離れて行った。

「郁人さ、言い方ってのがあるでしょ。もう少し優しく答えてあげればいいに」

「ふーん、帆乃香は俺が他の子に優しくしたら嫌なんじゃなかったの? いいの? 俺、本当はめっちゃ優しいよ」

「それは、ダメだけど。ダメじゃない時もある訳だし」

「ふっ、心配すんな。俺は帆乃香しか見てないから」

「郁人、甘いって。照れるからそんなストレートに言うの、やめて」

「俺、やめないよ。誰がどう思ったっていいんだ。今日から帆乃香に甘くなるから」

私の心臓、持つかな。ドキドキが止まらないよ。


朝食を終えて、勉強合宿2日目。

今日も郁人は英語のクラスに来てくれて、私は一番後ろの席で相変わらず郁人先生のスパルタ授業を受けている。

「郁人ぉ、さっきまで私に甘かったよねぇ。勉強になるとどうしてこんなに鬼になるのよ」

「帆乃香、知ってる? この学校って3年の10月にある英検までに2級取らないと単位もらえないんだぞ。帆乃香は何級まで持ってんだよ?」

「えっと、2年生の最後にやった検定で準2級は取ったよ! ふふん!」

「ふふん! じゃないからな。2級取れるように今から勉強しておかないと、ヤバイんだぞ。特に帆乃香は」

「分かってるもん。頑張るもん」

「じゃ、次の問題を解いてみて。さっき説明した文法を当てはめていけばいいんだから」

はぁー。なんか私の目の下にクマができそう・・・。



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