一番好きなのは、キミだから

◇後ろの席




春休みが終わり、今日は1学期の始業式。今日から高校2年生。


「ふぁぁ」


春休み明けで久しぶりに朝早起きしたからか、眠くてさっきからあくびが止まらない。


電車に乗り、つり革を持ちながら立ったままウトウトしているうちに、高校の最寄り駅に着いた。


駅の階段をのぼって外へ出ると、日射しが眩しくて目を閉じた。


最寄り駅から学校までは、徒歩10分。


澄みきった空の下。

ゆっくり歩いていると、学校近くの小さな公園の桜の木が、満開になっているのが目についた。


ふと強い風が吹いて、ピンク色の花弁がこちらまで舞ってきた。


花吹雪、きれい。


公園の前を過ぎてしばらく歩を進めると、見覚えのある後ろ姿が、あたしの少し先を歩いているのが見えた。


あの茶髪の後ろ姿は……間違いない。
真宙くんだ。


彼を認識した途端、胸がドキドキと高鳴る。


新学期早々、真宙くんに会えるなんて。


どうしよう。ここはやっぱり、勇気を出して声をかける……?



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