あなたは運命の人
桐人君とは問題なくやっている。
今日こそは難関が訪れるかもしれない。
そう思っていたが、桐人君はお風呂から出た私に今日も言う。

「僕は仕事をしてるよ。先に寝てね」

桐人君のパジャマ姿を私は一度も見ていない。

だから一緒のベッドで眠っている感覚が無い。




次の日の朝。
病院に行って、今は身体にはパッチと機械が付いている。


「お母さん、身体辛いとか無い?」

「最近絶好調よ。美優のお陰で私も幸せだもの」


金曜日、病院でパッチと機械を返却。
心臓は大きな異常もなくて安心した。

土曜日、今日も桐人君は仕事で私は実家に帰っていた。
家を出て十日経ったが、お母さんが元気で安心した。


次の日の日曜日の十五時。


「何を必死にやってるの?」

リビングに出てきた桐人君がダイニングテーブルで勉強をしていた私に声を掛けた。

「秘書検定の勉強です。二級までは合格しているのですが、諒ちゃんの秘書をやらせてもらえるなら少しでも役に立ちたくて。でも次の試験が六月なんですけどね」

私の返答を聞くと何故か桐人君が固まった。

「桐人君?」

不思議に思って呼び掛けると桐人君はハッとしたのち、慌てた様子で笑顔を張り付けた。
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