訳あり令嬢は次期公爵様からの溺愛とプロポーズから逃げ出したい
婚約者が容赦なく溺愛してきます
婚約をしてからというもの、ギルフォードのフューレアに対する態度は微妙に変わった。
どう変わったのかと問われれば、口にすることを躊躇ってしまう。
「フュー、遠慮しないでこっちへおいで」
「するわよ。どうして、婚約者の正式な座り位置があなたの膝の上なのよ?」
フューレアは早くも涙目だ。
それもこれもギルフォードがいけない。
ナフテハール家へとやってきたギルフォードは早々にエルセを追い出し(エルセの裏切り者)、二人きりになった途端に容赦がなくなった。
エルセもエルセだ。そこは未婚の女性を男性と二人きりにさせないように頑張るところではないか。
「婚約者の正しい距離感だよ。ほら、フュー。こっちへおいで」
抗議も空しくギルフォードは早業を駆使してフューレアをひょいと持ち上げ自身の膝の上にフューレアを横抱きにした。
「ひゃぁ!」
「私のことを男性として意識していなかったのなら、こうして意識してみるといいよ」
明るい顔をしてなんてことを言うのか。
昨日のフランカとの会話を思い出してしまう。兄としてしか見れない、とは少し違う。
そのギルフォードが近い。とっても近くてとっても狼狽えてしまう。
「あ、あなた……社交とかお仕事とか忙しくないの?」
「一緒に夜会に出席をする? レーヴェン家も今度夜会を主催するからね。そこが正式にフューのお披露目の場になるかな。ドレスはどんなものにしようか」
熱のこもった眼差しに頭がくらくらした。
この人、こんなにも意地悪な人だったっけ、と自問する。つい最近までのギルフォードはとっても紳士的だったのに。今の彼はまるで別人だ。
「顔が赤くなっている。私のこと、意識してくれている?」
「こ、これは清い男女交際ではありえないくらい破廉恥な距離感にひいているのよ」
「男女交際をしているって自覚はあるんだね」
ギルフォードは嬉しそうにフューレアの頬を撫でた。
そのまま銀色の髪の毛をやさしく梳いていって、おもむろに口づけされた。一瞬の触れ合いは、けれどもフューレアにとっては一大事だった。
「ギルフォード!」
「もっと口づけしてほしい?」
「な、なにを言うのよ」
抗議をしたのに、彼はなんと再びフューレアの目じりに口づけを落とした。
駄目、と抗議するはずなのに心が甘く疼いてしまった。
おかしい。こんなの絶対におかしい。
何も言えずに口をはくはくと動かしているとギルフォードの瞳に宿る熱の色が余計に濃くなった。
「愛している、フュー」
ギルフォードがフューレアの耳元で囁いた。
彼の呼吸と息遣いを耳が拾う。低く艶めかしい声にぞくぞくした。
「ん……」
「耳が感じるんだね」
「や……ちが」
どう変わったのかと問われれば、口にすることを躊躇ってしまう。
「フュー、遠慮しないでこっちへおいで」
「するわよ。どうして、婚約者の正式な座り位置があなたの膝の上なのよ?」
フューレアは早くも涙目だ。
それもこれもギルフォードがいけない。
ナフテハール家へとやってきたギルフォードは早々にエルセを追い出し(エルセの裏切り者)、二人きりになった途端に容赦がなくなった。
エルセもエルセだ。そこは未婚の女性を男性と二人きりにさせないように頑張るところではないか。
「婚約者の正しい距離感だよ。ほら、フュー。こっちへおいで」
抗議も空しくギルフォードは早業を駆使してフューレアをひょいと持ち上げ自身の膝の上にフューレアを横抱きにした。
「ひゃぁ!」
「私のことを男性として意識していなかったのなら、こうして意識してみるといいよ」
明るい顔をしてなんてことを言うのか。
昨日のフランカとの会話を思い出してしまう。兄としてしか見れない、とは少し違う。
そのギルフォードが近い。とっても近くてとっても狼狽えてしまう。
「あ、あなた……社交とかお仕事とか忙しくないの?」
「一緒に夜会に出席をする? レーヴェン家も今度夜会を主催するからね。そこが正式にフューのお披露目の場になるかな。ドレスはどんなものにしようか」
熱のこもった眼差しに頭がくらくらした。
この人、こんなにも意地悪な人だったっけ、と自問する。つい最近までのギルフォードはとっても紳士的だったのに。今の彼はまるで別人だ。
「顔が赤くなっている。私のこと、意識してくれている?」
「こ、これは清い男女交際ではありえないくらい破廉恥な距離感にひいているのよ」
「男女交際をしているって自覚はあるんだね」
ギルフォードは嬉しそうにフューレアの頬を撫でた。
そのまま銀色の髪の毛をやさしく梳いていって、おもむろに口づけされた。一瞬の触れ合いは、けれどもフューレアにとっては一大事だった。
「ギルフォード!」
「もっと口づけしてほしい?」
「な、なにを言うのよ」
抗議をしたのに、彼はなんと再びフューレアの目じりに口づけを落とした。
駄目、と抗議するはずなのに心が甘く疼いてしまった。
おかしい。こんなの絶対におかしい。
何も言えずに口をはくはくと動かしているとギルフォードの瞳に宿る熱の色が余計に濃くなった。
「愛している、フュー」
ギルフォードがフューレアの耳元で囁いた。
彼の呼吸と息遣いを耳が拾う。低く艶めかしい声にぞくぞくした。
「ん……」
「耳が感じるんだね」
「や……ちが」