今日からはじまる恋の話
おまけ



焼き鳥の香りを纏った私たち。酔いを覚ますにはちょうどいい夜風に当たりながら、のんびりとした足取りで歩いていた。

「完全に潰れちゃったわね」

私の隣には零士くんのことを背負っている陽汰くんがいる。

「こいつ酒は強いはずなんですけどね」

「陽汰くんがいるから安心してるのよ」

「ですかね」

陽汰くんと付き合うことになったと零士くんが報告してくれたのは、1カ月前のこと。口には出さなくても彼がたくさん悩んだことはわかっている。

私たちが思うより、世間の風当たりはあたたかいものではない。

私は零士くんのことが友達以上に大切だし、困ったことがあればすぐに駆けつけるし、なにがあっても一生彼の味方だ。

それは友情ではなく愛情に近いけれど、零士くんが寂しいと思う時に肌は重ねてはあげられない。

だから私は、零士くんの傍に陽汰くんがいてくれて、心から安心してるし、ふたりが恋人になってくれて誰よりも嬉しかった。

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