運命の恋人 ~上司は美しい悪魔の生まれ変わりだった~
新たに動き出す
私はいつものように、会社近くのカフェでコーヒーをテイクアウトして会社に向かった。
会社のロビーでエレベーターを待っていた。

「鈴木さん、おはようございます。」

京子が可愛いピンクのコートを着て、駆け寄って来た。

「西条さん、おはようございます。ピンクのコート、お似合いですね。」

嬉しそうに京子が笑みを浮かべた。

「これ、買ったばかりのお気に入りなんです。…そうだ、もしよければ今日のランチは一緒に行きませんか?」

「嬉しいです。西条さんとランチ楽しみにしていますね。」

私はとても嬉しかった。
京子の記憶から一度消えてしまったが、こうしてまた新たに友人になれそうだ。



お昼近くになり、京子からメールが来た。
京子のランチ前メールはとても懐かしく感じる。


“今日は駅の近くのイタリアンにしませんか?”

“もちろん、OKです。楽しみです。”


駅の近くのイタリアンは、以前に京子とよく行っていた場所だ。
また京子と行かれることがとても嬉しい。


「鈴木さん。ここはトマトソースのパスタが人気ですよ。私も迷うな、うーーーん、どれにしようかな…」

(…京子、ここのパスタ美味しいよね…知っているよ…)

「では、西条さんのお勧めのトマトソースのパスタにします。」

(…私は記憶から消えても、すべて失ったわけじゃないんだ…)

「あの…鈴木さん、よかったら私は京子でいいですよ…同じ年だしね!」

「西条さん、では私は恵美でお願いします。」

「では…恵美!」

「京子!」

私は顔が緩んでしまうほど嬉しくて仕方がない。

「なんか、不思議なんだけどね。恵美って呼ぶのが、すごくしっくりくるんだよね。前から読んでいたみたいだよ!」


(…うん…そうだよ…京子はそう呼んでくれていたよ!)

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