【完】夢見るマリアージュ

「ふっ……。やっぱり今日はダイエットは中止だな」

「意思が弱い自分がお恥ずかしいです…」

ピザを前に頬を赤らめる彼女を見て、自然とこみ上げて行く愛しさの気持ちがはっきりと分かった。

ピザを切り分け、一かけら手に持ち彼女の口へと運ぶと城田さんは顔を真っ赤にした。  ついついリリーの餌やりのようになってしまったが…

恥じらいつつもそれを彼女は受け入れて、ぱくりと口に含むと幸せそうに頬を緩ませた。

「うわあー美味しい~。生地がもっちもち~…
って、調子に乗ってすいません…」

「いえいえ、俺が君に食べさせてあげたいんだから。
それに君は全然意思が弱くない。 自分をきちんと持っている女性だ。」

「私が……?」

考え込むように目を伏せて、またこちらを見上げる。
黒目がちなその瞳を前に、勝手に口は動いてしまっていた。

「俺と――付き合ってくれないだろうか?」

そう自然と口から零れ落ちた言葉に、彼女は驚いた顔のまま時間が止まる。
しかしそれよりもびっくりしていたのは、自分自身だったのだ。

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