【完】夢見るマリアージュ

「それって悩むほどには俺の事を考えてくれていたって事でいいかな?」

ふんわりとした笑みを浮かべ、その場で身を屈める北斗さんは人差し指で私の涙を優しく拭う。

「そりゃあそうです。私の頭の中は北斗さんでいっぱいなんですから。 って、あ……私ったら何を言っているの…
もう…恥ずかしい……
嫌です。こんな顔見て欲しくない。 今メイクも崩れちゃって私酷い顔してる…」

言い終える前に、北斗さんはぎゅっと私を抱きしめる。
ふわりと掠めるのは、北斗さんの匂いと冬の風の匂いが混じり合った

なんて居心地の良い空気。 そっと彼の胸の中目を閉じると、熱い彼の体温が自分の中、流れ込んでくる。

どんなに奇跡を願っていても、夢はいつか覚めるもの。
けれど、あなたの胸の中永遠の夢を見続ける事が出来るのならば
それはどんな幸せな事だろう。    ――これは、いつか終わるような夢じゃない??

「城田さんに会って欲しい人がいるんだ」

果たして、夢の先を願ってもいいのだろうか。

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