【完】夢見るマリアージュ
「あら、じゃあうちに習いにいらっしゃいよ。 私はいつでもお家にいますし」
「いいんですか?!すっごく嬉しいです」
北斗さん、俺の名前を呼んで手を振って笑ってくれる。
そんな姿にずっとずっと心が癒されていた。
君に気持ちを伝えたら、会わせたい人がいた。 それは俺が大切に想う人たち。
大切な君に、大切な人達を会わせたかった。
「今、デザート持っていきますね!」
そう無邪気に笑う彼女の顔を見ると、自然に顔が綻んだ。
ふとワイングラスを傾ける父がこちらを見つめ笑っていたのに気が付く。
「良い顔するようになったな、北斗。北斗がそんな緩んだ顔をするなんてな…」
そうだ、全部君のせいだ。
こんな風に愛情に溢れた家だった事に気が付いたのも
母が本当はずっと幸せだった事も
当たり前のようにあった愛情が全然当たり前じゃないと気が付いたのも
全ては君に出会えたからだ。