【完】夢見るマリアージュ

「分かった。助かる。 それはそうとお前が彼女を連れて来てくれた日から、お母さんがうるさくて敵わない。
今度はいつ香ちゃんを連れて来てくれるのかと毎日のように聞かれる。
あいつ自分でも連絡先交換したのにな」

くすりと小さな笑みが漏れる。

母はすっかりと香ちゃんが気に入ったようだ。 二人が仲良くしてくれるのは俺も嬉しい限りである。

「彼女に伝えておきますよ。 お母さんの料理はすごく美味しいってえらく感動していたみたいだから。
今度また休日にも連れて行きます」

「うむ。
私も香ちゃんについてはすっかりと気に入った。いつでも連れて来なさい。
今度私にケーキを作ってくれると言っていたんだ。」

「彼女のお菓子は絶品ですからね」

父と少し話をして、社長室から出てビルを後にした。
コートを着ているとはいえ、すっかり外は冷え込む季節になってきた。
近頃仕事の調子が良いのも彼女のお陰かな、と思う程全ての物事が円滑に進んでいる。

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