【完】夢見るマリアージュ
■3■ *SIDE北斗* 強い意志を持つ君。

■3■ *SIDE北斗* 強い意志を持つ君。




「リリーおいでッ!」

名前を呼ぶと、リリーは小さな体で駆け出してきて俺の膝へと足を乗せる。

鼻先を動かしながら、撫でると気持ちよさそうに絨毯にぺたりと座り込む。 俺の指を舐めながら今日も幸せそうだ。

一般的にうさぎは懐かないイメージがあるだろう。俺もあった。
けれど意外に人懐っこい生き物である。

一緒に遊んだりもするし、構ってとアピールもする。
すりすりと体を寄せる事もあるし、いっちょ前にヤキモチだって妬く。

「リリー、本当に可愛いなあー」

30過ぎの男がうさぎを前に鼻の下をのばす。 傍から見れば不気味な映像かもしれない。 …こんな姿誰にも見せられない。

「ごめんなあー、今日は一緒にはいられないんだ。 でもね、夜までには帰って来るからね?」

リリーは首を傾げたように見えた。 真っ黒で真っ直ぐな瞳。 黒目がちな城田さんを思い出した。

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