ふたつ名の令嬢と龍の託宣

【第1話 王妃の茶会】

 そのお茶会は、王妃のために建てられた、王城の離宮の中庭で催される予定だった。

 招待されたのは、十三歳から十五歳までの貴族令嬢たち。控えの間として用意された部屋には、十数人の令嬢とその母親、おつきの侍女たちが集められていた。

 それぞれに豪奢(ごうしゃ)なソファとテーブル、触れるのも恐れ多い高級な茶器に、手の込んだ芸術的な菓子がサーブされている。

 中には侍女を数人連れている令嬢もいて、王城の女官や警護の騎士なども合わせると、控えの間にはかなりの人数がいた。しかし、圧迫感を感じることはなく、部屋はゆったりと過ごせる程度の広さがあった。立派な調度品といい、この控えの間で茶会を開いてもおかしくないほどである。

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