下弦の月
二度目の別れ
この年は、また一人の隊士が病死した。




四番組組長の松原忠司てある。





そんなに接点はなかったが、やはり隊士が減るのは悲しい。








穏やかに流れる月日。





また新たな年越しの時も私の傍らには……



土方さんが居てくれた。






この年は、後に三条制札事件と呼ばれる。





土佐藩士が三条大橋の制札を引き抜く事件が起きて、




新撰組が警備をすることになり、原田さんの十番組が土佐藩士8名を捕縛した。




その報償金で、原田さんは皆に美味しい御馳走とお酒を振る舞ってくれた。







そしてーーーついに………。





年号は、慶応三年になった。







大好きな彼が……あの事件でこの世を去る事になる。






失いたくない、無邪気で元気で……私を笑顔にしてくれる彼を。






時代の流れには逆らえない。





これは……彼の宿命だったかのように、





三月ーーー、彼は伊東甲子太郎が結成した御陵衛士に加わった。
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