下弦の月
友情と恋心
そして、






「でも、月香さんの時代では新撰組は有名なの?もし、有名なら隊士の方はわかるわよね?」






「はい、とっても有名ですよ。私の時代では…沖田総司さんは美男子だったとか。」






「あぁ。確かに…美男子ね。」






なんて、会話をしながら出来上がった夕食を居間に運びながら。






「月香さんはさ、この先…今の時代がどうなるかも知っているのよね?」






あまりに不安そうな顔をして言った八重さんを見て、






「えっ?」






思わず、聞き返してしまっていた。






「ここの所、長州の方とかも京へ出入りされてるから。どうなるのかな?って…」






わからなくもない。






私だって、平穏に見えて物騒な、この時代の京に居たら不安だって思うから。




だけど、私がこの先の事を話せば。




歴史の流れが変わってしまう可能性があるから、




八重さんには伝えてはいけない。






「近い未来に、江戸時代は終わって…明治時代になります。」






「そう、時代は変わるのね。」






それ以上、先の事は何も聞かれなくてホッとした。








夕食を食べながらも、八重さんに質問されている。






『月香さんの時代も着物なの?』






その問いには、お金を払って借れる商いがあって。と説明した。






『髪結いの仕事はあるの?』






その問いには、美容院と名を変えて残っている。と説明した。






『ところで、月香さんはいくつ?』






って、聞かれて、歳を伝えると。






「あらっ、同じ歳じゃない。それなら八重って呼んで。私も月香って呼ぶわ。」






私は、はい。と頷いたけれど……






畏まった言葉使いも禁止とされ、




改めて、うん。と頷いた。
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