「そんなところです」

本当のことを言わなくても、早く帰ることが出来るなら、それでよかった。仕方ないなあ、と言いながら、砂本さんがスマホに何かを記録している。きっと二次会の参加人数を把握したいんだろう。何処の飲み会でも幹事は大変だ。千秋が気持ちを切り替えて一週間の仕事の締めに入ろうとしたら、砂本さんがこんなことを言った。

「こら、男性陣。綾城さんにばかり雑用を押し付けない。自分のマグカップは自分で洗う。ごみも指定場所に」

こんな、事務の仕事に助け船なんて必要ないのに、今は男女平等の世の中だからと、砂本さんは男性陣に千秋の仕事をさせるのも厭わない。

「す、砂本さん、あの、私、皆さんの分、出来ますから……」

「そう言っておいて、皆の分をやっていたからと言って飲み会に遅れるのはなしだよ」

まるで逃がさない、と言われているようで、居心地が悪かった。早く飲み会が終わって解放されたかった。