「綾城さん。……植山も、どうしたの」

「……渡瀬くん……」

「渡瀬くん、待ってたのよ。坂本先生と連絡取れない? 亜由子から連絡取りたいってメッセ来てて……」

「そんなことラインで連絡くれれば良かっただろ、なんで此処まで来てるの」

植山さんは渡瀬くんの言葉にもめげないで、渡瀬くんの隣に並び立った。

「会いたかったからよ。それに亜由子が坂本先生と連絡取りたがってるのは本当。なんか、坂本先生の専門が研究論文の参考になるとか言ってたわ。あの子、今研究所のシフトがいっぱいいっぱいになっちゃって、学校まで出向けないって言ってて……。ほら、私なら同じ学区だし」

「ああ、そういうこと。坂本先生、ライン入ってないんだよな……。資料の受け渡しがあるなら、学校に行った方が早くないか?」

渡瀬の言葉に、助かる! と植山がほっとした様子だった。気の置けないやり取りが繰り広げられるその様子に、ぽかんと傍観者になったのは千秋だった。

「じゃあ、電話だけして行くか。あ、綾城さん、またね」

「う、うん……」

気を付けて、と二人を玄関ホールで見送ってしまった。やっぱりあの時と一緒だ、と渡瀬が去った玄関を見つめた。