「……ホントに同じ会社だったのね」

電車に乗って母校へ急ぐ傍ら、植山が口を開いた。

「そう言っただろ。あんまり会社まで来るなよ。勘違いされたらたまらない」

「私を遠ざける言い訳かと思ってたわ。勘違いが本当になれば良いのに」

拗ねたように言う植山に渡瀬は苦笑もしない。

「それはないって、もう言ってあるだろ。君も頑張るなあ」

「貴方もね」

この十年、想いの形は変わらなかった。だったら、お互い行き着く場所は一つだ。

「まったくあの子は待つことに不安を覚えるタイプだと思うわ。それでもなの?」

「不安にさせなきゃいいんだろう?」

自信満々なところが、癪に触る。十年間、あの日の事しか見てこなかった渡瀬は、十年経っても遥を見てくれなかった。