偽装結婚のはずが、天敵御曹司の身ごもり妻になりました
「私の恋愛スキルレベルは、渚が一番よく知ってるでしょ」


「スキル云々じゃなくて、単に興味がなかっただけでしょ？　結婚だなんて予想外もいいところよ」


「私が一番驚いてる」


「でもその割には落ち着いているじゃない？　一応は納得しているのね」


淡々とした口調の親友に、瞬きを繰り返す。


「まさか」


「だって藍っておっとりしてそうな見かけによらず頑固だし、自分が納得しない事柄は受け入れないでしょ」


「私ってそんなイメージなの？」


思わず尋ねると、無言でうなずく。


「確かに一応、自分の中で折り合いはついているけど、これが正解かまだ迷う気持ちもあるの」


貴臣くんと渚にはこれまでにたくさんの出来事を相談してきた。

ふたりの考え方や意見はいつも私に指標をくれる。

ちなみにふたりはお互いに面識がある。


「結婚のきっかけや動機なんて人それぞれでしょ。もしかして藍、恋愛結婚がしたかったの？　あれだけ恋愛に無縁の生活を送ってきたのに？」　


少々失礼な物言いのような気がするが、言われている内容が正しいだけに反論できない。
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