俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜

嵐の前の静けさ

★★★







…そして、あれから何日の時が過ぎただろう。



だなんて思わせるぐらい、毎日平穏な日々が続いていたのは、言うまでもなく。

あの拾得物の件から、ほんの一週間しか過ぎていないのに。

けど、何が起こるわけでもなく、本当に穏やかな日々であり、あんな騒動があったなんて嘘のようだ。



もちろん、あの黒い翼の彼も姿を見せていない。

けど、この間みたいに、なずなの療養回復中に登場されても困る。



やっぱり、世の中平穏が一番。平凡も一番。

毎日同じ事の繰り返し上等。

それが一番の平和。



本日から始まったインターハイ予選の初戦、ホイッスルが鳴って勝利で終わった直後にも関わらず。

そんな事を思いながら、雲ひとつない初夏の澄んだ青空を見上げる。



……この世界の空は、こんなに綺麗なのだから。




「取り敢えず初戦突破でよかったなー」



ベンチから荷物を持って引き上げる際、隣にいた幼馴染の曈真くんが、ボソッと呟く。

彼はどちらかと言えば、普段はポーカーフェイスで表情の変化があまり無いので、勝利に露骨にニコニコしているわけではないのだけど。

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