俺のボディガードは陰陽師。〜第六幕・相の証明〜


リグ・ヴェーダを『相殺』で生け捕りにするのか、殺すのか。ーーーこの件に関しては、前々から水面下の遠回しな論議が行われていたというのは、初耳の話。

でもそれは、仲間内で表立って口論となるまでとはいかず。何故ならば、長年決めていた方針を今更覆すだなんて、誰もが反対するに決まっているからだ。

感情のまま爆弾を落とすなずなとは違って、菩提さんはそこは察する。

表面上では、真っ向から本音を主張せず、何も語らずにいるが、時たま『自らの手でヤツを葬る』だとか、感情的な会話の端々から滲み出ていることがあったという。

『相殺』で生け捕りではなく葬る。すなわち、命を奪う?まさかな?というレベルで気付いていた者も少なくはなかったらしい。



だが、菩提さんにはっきりとした異変が見られ始めたのは、あの日からだった。



「ボスの様子が変わったのは、伶士クン。君があの『核』を拾ってきてからデス」

「え?…あ、あの石、ですか?」



俺があの『核』という魔族の心臓という石コロを持って帰ってきた日。

…すなわち、俺が内密に【夢殿】とやらの力を覚醒させ、黒曜鬼と戦い勝利した。

脱一般人化した記念日だ。(…)
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