マリオネット★クライシス
第12幕 「偶然じゃないんだ」

――ユウ、ユウ……もう、どこにも行くなよ。


――君はオレのものだから。わかったな、ユウ……?


誰かに呼ばれた気がして……意識が浮上する。
ゆっくりと瞼を上げた。

ここは……どこ?

わたし、寝てた?
どうしたんだっけ……えっと……


ふかふかの枕に顔を埋めて呻く。

何この気持ちよさ!


とろとろと再びまどろみそうになる意識と闘い、視界を少しずつ動かすと、
控え目な間接照明が照らし出す薄暗い室内がぼんやりと見えた。
傍には、同じような純白の枕がいくつも……

なんだかまるでホテルみたい。
今日はよくホテルで目が覚めるなぁ……って、あ……?


そうだ、ジェイっ……

わたし、ジェイの血を見て、また気を失っちゃったんだ!


突然すべてをクリアに思い出して、跳ね起きた――



「へ……?」


ぽかんって口開けて、間抜けな声を出す。

目の前に広がっていたのは……別世界だった。

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