マリオネット★クライシス
幕間③ 都内某所・大型トラック車内


ジジジジジ……


外界の音は完全に遮断され、微かな電子音だけが響いていた。


薄暗いその限られた場所を所狭しと占拠しているのは、大小複数のモニターと用途不明の精密機器類。
見る人が見れば、それが最新のシステムを投入したハイテク機器群であることに気づくだろう。

そこはまるでNASA管制室の縮小版といった様相であり、道行く人は誰一人想像もできないに違いない。まさか路駐された大型トラックの荷台が、このような空間に改造されているとは。


今、そこには3人の男が座っている。

刻一刻と移り変わるモニターに隙の無い視線を注ぐ2人、そしてそれを後方で監視する1人――


「……I know, I know」

後方の一人が、膝の上のノートパソコンに向かって唐突に頷いた。

耳にはワイヤレスのインカム。
視線の先の画面はいくつかに分割されており、複数の人物がガヤガヤと何かをしゃべっている。
どうやら、オンラインミーティングの真っ最中のようである。


<入国も一人だったし、確かに彼が自分の意思で行動してることは間違いないと思うよ。誘拐説はナシだと考えていいと思う>

流暢なネイティブイングリッシュで男は言い、少々うっとうしそうに柔らかな金髪をかき上げた。

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