子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
番外編:干琥珀1



 ここ数日、ずっと天気が悪かった。

 琴葉と一緒に紫陽花を見に行こうと言っていたのに、この雨模様ではままならない。

 楽しみがなくなって切ないのか、彼女は窓の方を見ては寂しげに目を伏せた。

 そういう顔をもう二度とさせたくないと思ったのに、まさかの事態である。

 俺のせいではないといっても、気になるものは気になるのだ。

 どうすれば琴葉を元気づけられるのか。

 考えた時に思いついたのは和菓子だった。

 彼女はあまり甘味を食べた経験がないからか、超が付くほどの甘党だ。本人はそこまでだと思っていないだろうが。

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