子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
番外編:干琥珀2

「保名さん」

「さん付けするな」

 俺よりも小さな身体をベッドの上に押し倒し、きれいに結わえていた琴葉の髪を乱す。

 首筋に口づけると、柔らかな肌がふるりと震えた。

「やす……やすな」

「いい加減慣れろよ。ずっとさん付けで呼ぶ気か?」

「……私にとってどれだけ大切な名前か知らないから、そんなふうに言えるんだよ」

 赤くなった琴葉が手で顔を隠そうとする。

「呼ぶだけでどきどきするのに」

「……じゃあ、一生慣れなくていい」

 距離があるように感じて嫌だが、そんなふうに言われてはもうなにも言えない。

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