連絡先の交換もできない、名前を聞くことすらためらわれた「給水池公園のスケブ青年」の正体は、意外なところから分かった。

 彼の帰ってくるのを待ちきれずに寝てしまった翌朝、リビングの壁にスケッチ画が貼られていたのだ。
「どうして…」
 それは、私がたい焼きをおいしそうに食べているところが描かれた例の絵だった。

「おはよう。それ、いい絵だろう?」
「あ…」
 振り向くと彼は、これ以上ないほど朗らかに笑っていた。
「君、最近元気がないから心配だったけど、こんな顔ができるんだね」