コンチェルトⅡ ~沙織の章
4

結婚した翌年に 樹は生まれた。

特別、難産ではないけれど 沙織は 一晩中 陣痛に苦しんだ。


沙織に付添う 紀之は 
 
「沙織、大丈夫? 頑張って。」

と 沙織の手を 握っていてくれた。
 


紀之は 出産にも立ち会い 苦しむ沙織を 励まし続ける。

樹の 産声を聞いたときは 感動して二人 涙を流した。


「ありがとう、沙織。可愛いな。」

と言って 紀之は 産まれたばかりの樹に 頬を寄せる。


沙織は 大仕事をやり遂げた 充実感と 

紀之の 深い愛に 包まれていた。
 


翌日 病院を訪れた お父様とお母様に
 

「自分の子供って 本当に特別なんだね。」

と樹を抱いて 紀之は言う。
 
「そうじゃないと 育てられないよ。やっと 親の気持ちがわかったか。」

とお父様に笑われて 沙織も微笑む。
 

「沙織ちゃん、お疲れ様。」
 
「可愛いわね。本当に嬉しいわ。」
 

お父様とお母様にとっても 初孫の誕生は 喜びだった。
 








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