コンチェルトⅡ ~沙織の章
5

幼稚園に入る 一年前から 幼児教室に 通い始めた樹。


翔を 妊娠中の沙織は 大きなお腹で 付添った。

週に2回の 幼児教室を 樹は 楽しんでいた。
 

幼児教室の先生は 樹を とても褒めてくれた。


子供らしく 伸び伸びとしているところ。

社会性。

きちんと 自己主張が できることを。


沙織は とても嬉しかった。


夜、紀之に そのことを話すと
 

「俺と沙織の子供だよ。良い子に 決まっているじゃない。」

紀之は 樹に 頬ずりしながら 嬉しそうに言う。


沙織は 声を出して笑った。
 

「受験対策も 少しずつ 始めるみたいよ。」


まだ 幼稚園前の子供だから

どんな風に 勉強するのか 沙織は 少し不安だった。


でも 樹は 楽しんでいた。
 


「先生は プロだからね。楽しませながら 教えてくれるよ。それより沙織、身体は キツくない?」

紀之は 優しく沙織を気使う。
  

「やっと つわりが 落ち着いたから。大丈夫よ。二人目だから 勝手がわかるし。」

沙織が 笑顔で答えると 
 

「無理するなよ。キツいと思ったら お袋に 頼めばいいんだから。」

紀之の優しさが 嬉しくて 沙織は 笑顔で頷く。
 

「ありがとう。お母様も そう言ってくださるの。」


新しい命を 家族みんなが 待っている。


そして 樹のことも みんなが フォローしてくれる。


沙織が こんなに満たされているから

樹は 良い子なのだと 思っていた。

 







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