コンチェルトⅡ ~沙織の章
16

智之が 廣澤工業に入って 3年目。


お父様は 会長に退いた。


紀之は社長に 智之は副社長に就任して

廣澤工業は新たなスタートを切った。
 


その年は 様々な 節目の年だった。


廣澤工業の 創業60周年。

紀之は 入社20年目。


家庭では 樹が 中学に入学し

壮馬は みんなと同じ小学校に 入学した。


「会社って 時々 新しい風を 入れないと駄目だって よく解ったよ。」

紀之が しみじみと言う。
 
「どういう事?」

沙織が聞き返す。

お母様も 沙織の言葉に 頷いていた。
 

「智之が入って 会社の中 随分 変わったからさ。今まで 当たり前に やっていたことが すごく無駄だったり。智之に 言われるまで 疑問にも思わなかったよ。」

紀之の言葉に お父様は 温かい笑顔で
 

「時代は どんどん 変わっていくからね。社員の世代も 変わるし。世の中に 乗り遅れないように 色々 変えていかないと。古い考えは 通用しなくなるからね。」

と言った。
 










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