彩羽をゆっくりベットに寝かせ、今は左依が運転する車に乗り込んだ魁聖。
「魁…煙草」
「ん。サンキュ」
助手席に座っていた右京が渡してきた。

「魁聖くん、彩羽は?」
「睡眠薬でぐっすり!
フフ…寝顔、可愛いんだよな~いろちゃん!
あのまま襲いそうになって、抑えるの大変だったんだから!」
思い出して柔らかく微笑む、魁聖。

「ほんと、別人みたいだな。魁聖」
「フフ…」
窓の外を見ながら、微笑んでいる魁聖。
洋武達三人は、ただ黙って魁聖を見ていた。


ある廃墟街。
男達三人が、地べたに両手を縛りつけられた状態で座っていた。
「魁聖!これ!紐取れよ!」
「………」
「魁聖!」
「気安く俺の名前を呼ぶな!汚ねぇ……」
煙草を咥えた魁聖。
その横で同じように、煙草を咥えた洋武。
その後ろにひかえている、左右兄弟。
とても恐ろしい雰囲気を醸し出している四人に、次第に身体が震え出す、男達。

「何する気だよ……!?」
「手」
「は?」
「その右手、消さねぇと……!」
「え……?
何……言ってん、だよ…!?」
「だって、いらねぇよな…?
俺の彩羽の触った手なんだから!この世から消さねぇと……俺は安心して暮らせないじゃん!」
「は?意味わかんねぇ……お前、イカれてる!!」
咥え煙草の魁聖。雰囲気も真っ黒で、目も完全にイっている。
まさに、感情がない死神だ。

「あ、彩羽の声を聞いた耳も、彩羽を見たその目もいらねぇな……
あ!てことは、もう……お前自身が消えるしかねぇな!」