~狂恋~夫は妻を囲う
言葉通り、彩羽は魁聖の激情を受けていた。
果てても果てても終わらない、狂おしいくらいの激情を。

「いろちゃん…好きだよ、好き、好き、好き、好き、好き、好き、大好き……愛してるよ…」
「もう……だめぇ…」
「まだまだ、終わらないよ……?
隙間なんてなくなるくらい、ほんとに一つになろうよ……!
こんなに愛してるんだから……!!」

「いろちゃん…」
「魁、聖…」
「いろちゃん」
「魁……」
「彩羽」
「か、い……」
「彩羽…彩羽…好き、好き、好き、好き、好き、大好き……」

完全に意識をなくした彩羽。
魁聖はしばらく、彩羽を組み敷いたまま見つめていた。
身体中のキスマーク。
彩羽の魁聖を呼ぶ甘い声。
自分にどんどん依存し、落ちて嵌まっていく彩羽。

全てが愛おしい━━━━

そしてその思いは理恵に対する怒りにスライドしていく。
「さぁ、どうやって地獄に落とそうかなぁ。
………ったく、ほんと…バカばっか…」

夜が明けて、外が明るくなる。
魁聖が目を覚ますと、まだ彩羽は眠っていた。
魁聖はいつも彩羽より早く起きる。
そしてひたすら寝顔を見つめるのだ。
彩羽はよく、寝言を言う。
それを聞くのも、楽しみの一つだ。

「フフ…可愛い~」
自分の腕の中で、時折魁聖の名前を呼ぶ彩羽。
いつも嬉しそうに名前を呼ぶのだ。
たったそれだけことが、魁聖にとってどれ程嬉しいことか………
「ん…聖……」
「………」
「フフ…魁聖…好き…」
そして彩羽がすり寄ってくる。

「………/////彩羽も、酷いなぁ…俺の方が彩羽に益々落ちてくじゃん!
早く俺と同じとこまで落ちてよ……!」
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