~狂恋~夫は妻を囲う
「おかえり、魁聖」
「………」
明らかに機嫌が悪い魁聖。
「魁聖…?どうしたの?
なんか、怒って━━━━━━」

バン━━━━━!!!
壁に押し込まれ、魁聖の両腕の中に閉じ込められる彩羽。

「彩羽」
「え……?」
魁聖が“いろちゃん”ではなく“彩羽”と呼ぶ時は、かなりご立腹のサインのようなものだ。
彩羽は、思わず構えた。

「彩羽…俺のこと好き?」
額と額をくっつけてきた魁聖。
魁聖の顔が目の前まで近づき、ドキッと心臓が鳴った。
「え?うん」
「ちゃんと言って?」
「大好きだよ」
「ほんと?」
「うん」
「俺はね、愛してるよ…
彩羽の為ならなんでもするよ。
彩羽だけが、俺に何をしても許される。
でもね、それは彩羽が俺のモノありきなんだよ」
「うん」
「今日、何してたの?」

「お掃除と、夕食作ってたよ。今日はお天気よかったからお布団干したり……
あ、あと、お隣に越して来たって挨拶に来られた人が来て、その人……その…」
「元彼なんでしょ?」
「え?」
「今さっき、エレベーターで会った」
「そうなんだ…ロールケーキ、貰ったの。
一緒に食べよ?」
「うーん。先に彩羽食べてからにする」
「ご飯は?」
「彩羽が食べたい」
「その発言、なんか変だよ……」
「変じゃないよ。言葉通り……食べる」

風呂場に移動した二人。
シャワーの音が響く風呂場で、ひたすら魁聖の愛撫を受け翻弄される、彩羽。
「やぁ…痛っ……噛まないで……」
「大丈夫。歯形なんてつけないよ。こんな綺麗な彩羽の肌に傷はつけない。
キスマークはいっぱいつけるけど……!」

「…………いいよ、つけても」
< 8 / 53 >

この作品をシェア

pagetop