白鳥とアプリコット・ムーン ~怪盗妻は憲兵団長に二度娶られる~
憲兵団長ウィルバーと二代目国王アイカラス

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 旧大陸アルヴスの白鳥たちが新大陸ラーウスに移り、国を建立したのはいまから十年前のこと。
 国内外の領地争いでアルヴスを追われた貴族たちは争いのない世界を求めて、冒険家ドノヴァンが発見した新たな大陸ラーウスへと渡っていった。それこそ渡り鳥のように。
 なかでも目立ったのが“白鳥の湖”という姓を持つスワンレイクの一族である。彼らはいちはやくラーウスに目をつけており、冒険家の報告を聞くや否やアルヴスを捨て、いちから自分たちの国家を作るという暴挙にでたのだ。

 スワンレイク王国が世に認められ、ラーウスの中心国として発展できたのには理由がある。そのうちのひとつが、失われつつある魔法を扱える先住民族との融合政策だ。
 アルヴスから人間が渡ってくる以前よりこの地で慎ましく暮らしていた民は、旧大陸から渡ってくる白鳥の訪れを予言しており、快く歓迎した。
 予言や幻術など彼らの魔法を目の当たりにしたスワンレイクの一族は、星詠みや古代魔術を扱う彼らの助言をもとに、拠点となる国を造ったとも言われている。
 そのなかにはもちろん、政略結婚も含まれている。
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