白鳥とアプリコット・ムーン ~怪盗妻は憲兵団長に二度娶られる~

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 王都の西、花の離宮と呼ばれる城へ王命によって引っ越すことになってしまったウィルバーとローザベルは、それほど多くない荷物を片し、各々の部屋へと下がっている。
 夫婦なのだから寝室は一緒でもいいじゃないかとウィルバーにさんざん言われたが、彼の仕事を邪魔したくないからとやんわり告げれば彼は渋々引き下がる。国家を守る憲兵団長の仕事は年中無休だ。一緒の寝室で眠ると否応なしに起こされてしまう、寝付きの悪いローザベルは結婚当初からそういって、寝室を別にしてもらっていた。

 それゆえ、互いの寝室で夫婦の営みを行ったのは片手で数えるほど。あとは応接間のソファで我慢できなくなったウィルバーを慰める程度である。それでも彼はローザベルに飽きることなく、いまも変わらず愛を囁いてくれている。
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