今宵は宮殿にて、アルフォンス王太子殿下の誕生日をお祝いする舞踏会が開かれる。

 アイスフェルト公爵の一人娘である私――エミリア・フォン・アイスフェルトは、王太子殿下の婚約者として今夜の舞踏会に出席することになっていた。

 このヴァーミリオン王国で男女の婚姻が許されるのは十八歳から。
 現在十七歳の私は、約一年後に王太子妃として嫁ぐことになっている。

 光の魔力が発現した五歳の頃から次期聖女という地位に就き、その後アイスフェルト公爵家の令嬢として王太子殿下より婚約を申し込まれてから、もうすぐ十年。
 現聖女である王妃に次ぐ光の魔力を持つ者として、女神セレスソルティエーラ様の神殿にて嵐の日も病の日も欠かさずお祈りを行う生活を続けながら、時折王宮にて王太子妃となるための教育を受けている。

 ……年月とは意外に早く過ぎ去るものね。

 王都ルビアにある屋敷の自室で、新しく誂えてもらった舞踏会用の盛装を侍女に三人掛かりで着せてもらいながら、私は感慨深い気持ちで今日までの日々を思い出す。