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 ヴァーミリオン王国の王侯貴族達が一堂に会した議会では、昨夜起きた事件に関して、改めて取り調べが行われていた。

 公正を期すためにと玉座へ着いた国王が進行を取り仕切る中、アイスフェルト公爵が証人として招いたエミリアの友人の一人である侯爵令嬢が、アイスフェルト公爵令嬢の護衛であるジェラルド・ハインリヒにエスコートされながら現れる。

 熱に浮かされたような視線でジェラルドを見上げる侯爵令嬢に、彼がまるで恋人のように優しく頷くと、彼女は意を決したようにこくりと固唾を呑んだ。

「……アーニャ様への数々の行為は、全てわたくしが先導致しました。決して、エミリア様が行ったことではありません」

 震える声で真実を語り始めた彼女の姿に、ジェラルドは内心ほっと胸を撫で下ろす。

 王宮で暮らす貴族令嬢や、アーニャと同じく侍女として働く行儀見習いの令嬢達は、アーニャの礼儀に欠けた数々の行為と令嬢達の間で人気の殿方達との親密な態度に日々怒りが募っていた。