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 エーデルシュタイン帝国との花嫁引き渡しが行われる遥か遠い国境沿いへ向かって、護衛の馬車と共に三週間の旅をした。

 本日の昼にあった花嫁引き渡しの儀式にて、私はヴァーミリオン王国の騎士や使用人に別れを告げ、エーデルシュタイン帝国の馬車に乗り換えた。
 もちろん、ジェラルドだけは一緒だ。

 この世界の世界地図を確認したところ、『黒き森』を抜ける旅は一週間以上かかると予想された。
 魔物も出るので、これからもっと過酷になるに違いない。

 そう踏んでいたのだが、国境にある騎士団駐屯地にあった〝鋼鉄製の門〟を潜るだけで、帝都の城門に到着したではないか。
 どうやらそれが転移魔法装置だったようだ。
 古代種の魔法技術は、人間だけが暮らす王国よりも遥かに進んでいた。


 ――そうして。穏やかな旅は終わりを告げる。

 私はとうとう、皇帝陛下が住まう宮廷へ辿り着いてしまった。


 現在、私はエーデルシュタイン帝国の宮殿内にある謁見の間にて、震える指先を叱咤しながら純白のドレスのスカートを優雅に摘み、皇帝陛下の御前で頭を垂れている。