【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。
⑯隠し通せなかった秘密


 爽太さんから帰ると連絡があったのは、それから何日かした時だった。
 2週間と言っていたシンガポールへの出張も、思ったより早く事が進んだようで、早く帰れることになったと爽太さんは喜んでいた。

「明日、帰るから」

「はい。……気を付けてくださいね」

 爽太さんには、妊娠していることは言わないことに決めた。離婚する頃にはきっと、安定期を過ぎる頃になるだろうし、少しお腹もふっくらしているかもしれないけど……。
 だけど妊娠のことは告げずに、わたしはこの子を一人で産むことに決めた。
 爽太さんには迷惑をかけたくないと思った。だから一人で、わたしはこの子を産んで育てていく。……迷いはない。

「やっと紅音に会える。長かったよ、本当に」

「そうですね。長かったですね」
 
「早く抱きしめたい。紅音のこと」 

 爽太さんは勘がいいから、わたしの異変には気付くかもしれない。だけど妊娠と言わなければ、なんとか誤魔化せるかもと思った。
 少し体調不良だと言えば、爽太さんはきっと優しくしてくれるから、きっと妊娠だとは疑わないと。……この時まではそう思っていた。
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