【完結】わたしたち、離婚を前提の期間限定夫婦になります。
⑳わたし、待ちます。


 爽太さんがウィーンに発つまで残り1週間となった。
 あと1週間後、わたしたちは離れてしまう。そして爽太さんは、一年間ウィーンに行く。

「爽太さん、もうすぐですね」

「ああ。そうだな」

 こうして2年間一緒に生活してみて、すごく思い出がたくさんあった。楽しいこと、面白かったこと、色々と思い出が蘇ってくる。
 泣いたこともあった。辛かったこともたくさんあった。

「わたし、爽太さんのことずっと大好きですから。……離れても、ずっと」

「ああ、俺もだよ」

 わたしたちのお互いを思うその気持ちは、これからもずっと変わらない。
 わたしは爽太さんのことを愛してる。この子の父親として、爽太さんは必ず帰ってきてくれると言ってくれたから。
 待ってる、この子と二人で……。

「そろそろ、向こうに行く準備しないとですね」

「そうだな。もうそろそろ、やらないとな」

「はい」

 爽太さんと離れるのは、正直寂しい。本当のことを言うと、離れたくない。
 ずっとずっと、一緒にいたいよ……。

「もしかしたら紅音のことを、もう少し待たせてしまうかもしれない。……けど、必ず迎えに行く」
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