仮面の貴公子は不器用令嬢に愛を乞う

不器用令嬢の杞憂


***

「どうしたフローラ? 浮かない顔をして」
ユーリスとフローラが結婚して三ヶ月が経った頃のこと。
まさに新婚ラブラブだろうと思っていたのだが、どうも何か悩んでいるようで沈んだ顔をしている。
「最近、ユーリスさまが何か隠し事をしているようで……」
ほうっとため息をついているフローラは若々しさはそのままに少女から大人の女性へと変貌を遂げ、ますます魅力的になった。悩み影を落とす瞳が妖艶で皇帝はついほほう~と感心してしまう。
「もしかしたら私、愛想をつかされたのかもしれません」
「まさか、ユーリスに限ってそれはないだろう」
ユーリス自体は幸せそうでフローラを溺愛しているのは一目瞭然。最近少し疲れているようにも見えるがきっと夜のアレに励んでいるからだろうと思っているのだが。
「でも、最近ユーリスさまは帰りが遅くて、少しよそよそしいんです。もしかして他に好きな人ができたのでしょうか? 怖くて大事なお話があるのに言い出せなくて。どうしたらいいでしょう陛下。私、捨てられてしまうかも……」
涙を浮かべ悩んでいるフローラに皇帝はふつふつとユーリスに怒りが込み上げる。
ユーリスに限って浮気などするはずないとは思うが、どんな理由があろうとも妻を不安にさせるとは言語道断。これはなにを置いても追及しなくては!

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