仮面の貴公子は不器用令嬢に愛を乞う
静観していた宰相はユーリスを諫める。
「ユーリス、少しは自重しないと敵ばかり作ることになるぞ?ただでさえお前は陛下のお気に入りで、お前を引きずり落とし取って代わりたい輩がいるのだから」
その筆頭がジェームズバリモアで父であるバリモア公爵もユーリスが邪魔で仕方がないのだ。
「私は別に人前では品行方正にしてるつもりなのですがね」
ユーリスは人前では猫を被って皇帝に忠誠を尽くしているように振る舞っているのでほとんどの者は知らないはずだが、バリモア公爵に知られては少し警戒しないといけない。
まあ、それくらいのことで優秀なユーリスが追い込まれることはないと思うが。
「ふ、せめて人前では陛下に対する態度を改めなさい。見られないように細心の注意を」
「承知しました」
素直なユーリスに宰相は苦笑いで頷く。
宰相も大概ユーリスに甘い。
祖父代わりのつもりでここまで育ててきたスペンサー侯爵も皇帝と一緒でユーリスがかわいいのだ。
< 26 / 202 >

この作品をシェア

pagetop