誘惑の延長線上、君を囲う。
「……シャワーありがとう」

「部屋着はゆったり着たい派で俺でも大きいから、佐藤にはもっと大きいよな」

恥ずかしながらも日下部君の前に現れた。日下部君は私を見てすぐに目を反らし、「シャワー浴びてくる」と言ってバスルームに消えた。

これが彼シャツならぬ彼パーカーと言うやつか。私には初めての体験だ。袖が長くて肩幅が広いから肩から落ちてきてしまい、丈も長い。柔軟剤の香りも良い匂いがする。ソファーに座り、日下部君を待つが落ち着かないので、三角座りの体制で座っていた。

「佐藤……?寝ちゃったの?」

「……ひゃ、」

どうやらソファーの隅で座っている間にウトウトしていたらしい。頬に缶チューハイをピタリとつけられ、冷たさで目が覚めた。

「明日も仕事だから、もう寝る?」

日下部君は肩にバスタオルをかけ、濡れた髪のままで缶チューハイを飲んでいた。濡れた髪が日下部君の男の色気の引き立て役になり直視出来ない。渡された缶チューハイの缶を開けて一口飲んでから、「コレ飲んでから寝る」と言った。日下部君は飲んでいた缶チューハイをテーブルに置くと髪を乾かしてから、私の隣に座った。

「洗濯はタイマーかけたから、朝には乾いてる。出勤前に自宅に帰って着替えてから行くの?」

「……うん、そうするつもり」
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