囚われて、逃げられない
交際する
「それでも、俺の恋人になりたい?」

「泰氏くんは?」
「ん?」
「もう一度、泰氏くんの気持ちが知りたい」

「………愛してるよ。
どうしようもなく……」
「うん」
「野々の為なら…野々が傍にいてくれたら、何でもしてあげるよ」
「うん」
「それが、犯罪でも…喜んで犯してあげる」
「うん。
…………え!?だ、ダメだよ!!?それはダメ!!」
慌てる野々花。
泰氏は“フッ…!”と笑って、
「それくらい、大好き!」
と言った。
「うん、嬉しい!
私、泰氏くんの恋人になります!」
野々花は、もう一度真っ直ぐ泰氏を見上げて言った。

「じゃあ…行こうか。
俺達だけの世界に……」


中に入ると、圧倒される程の空間が広がっていた。
「凄い……」
「今日から、俺と野々の家だよ!」
「でも、私何も持ってきてないよ」
「大丈夫。とりあえず、最低限の物はあるから」
「へ?」
そう言われ、クローゼットに移動する。
「服がたくさん……」
「好きに使ってね!
この家の中の物も、好きに使っていいから!
あ、でも、一番奥の黒いドアの部屋には入らないでね!まぁ…鍵がかかってるから、入れないと思うけど……」

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「乾杯…」
ソファに座り、ワインを飲む。
「ん。美味しい、このワイン」
「野々って、酒あんま飲めないよね?」
「え…!?」
「いつも一生懸命誤魔化してたの、バレてたよ!」
「そ、そうなの?」
「でも、きっと俺に合わせてくれてるんだろうなぁって思ったら、嬉しくて……!
つい、知らないふりしちゃった!」
「アハハ……
バレてたのか……」
苦笑いする野々花を、真剣に見つめる泰氏。

「野々……」
「ん?」
「抱いていい……?」
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