囚われて、逃げられない
囚われる
「え………ほんとなの…?」

「どうだろうね?
ねぇ…愛し合おうよ?
異常な俺の…異常な恋人だろ……?
だから、狂ってしまおうよ?
一緒に…………」

「んんっ……あ…ぁ…ひやぁ…も、だめぇ…」
野々花は泰氏から与えられる快感に、意識が保てなくなる。
「野々……まだ、イカないで?
ほらっ…頑張って意識保って…?
まだまだ、愛し合おうよ…?」

野々花は意識を保とうと、自分の手の甲を噛む。
「んんっ!痛っ……」
「野々!!ダメ!」
泰氏が慌てて止める。
野々花の手の甲に、はっきり歯形がついていた。

「もう…ダメだよ?いくら意識を保とうとしたからって、傷つけないで?」
「だって、好きなの!泰氏くんが」
「うん、知ってるよ」
「だから、もっと泰氏くんを感じたい!」
「うん、だったらちゃんと引き戻すから!」
「泰氏くん!」
「ん?」
「私を離さないで!?」
「うん、放さないよ?」
「もう…私には、本当に……泰氏くんしか、いない……」



野々花がどんどん、泰氏に嵌まって囚われていく。

泰氏の思い通りに━━━━━━



「大丈夫だよ?
俺の方こそ、放れられないんだから……」

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