囚われて、逃げられない
閉じ籠もる
ある部屋の一室。

「野々、この窓はマジックミラーなんだ。
ここで隣を見ててね!」
「う、うん…」
そう言って、泰氏は一度部屋を出て隣の部屋に泰氏と池田が入ってきた。

「え…池田くん?」

【野々のせいで、さっきの奴…排除するからね!】
「はっ━━!!!まさか!?」

一瞬だった。
泰氏が池田の首を持ってグッと引き上げた。

「嫌!!泰氏くん!!やめて!!」
野々花は部屋を出て、泰氏を止めようとする。
でも鍵がかけられていて出られない。
「泰氏くん、やめて!!お願い!!池田くんがほんとに死んじゃう!!」
窓をガンガン叩き、呼びかける。

でもその思いも虚しく、池田はカクッと力が抜け息が絶えた。

「嘘……」
そして泰氏は窓に向き直り、ニコッと微笑んで手を振る。
「これが、野々が俺を不安にさせた結果だよ!」
窓越しに泰氏が、野々花に言った。


野々花がいる部屋に戻ってきた、泰氏。
「あ…あ…」
後ずさる、野々花。
「野々、おいで?」
「や…来ないで?」
「おかしいなぁ…野々はわかってたはずだよ?」
「お願い…」

「言ったよね?俺の愛は“普通”じゃないって!
普通の精神じゃ、俺とは付き合えないんだよ!」

「泰氏くん、私……」
「放さないよ?」
「た、いし…くん?」



「二人だけの世界に行こうか?」

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