Letter - 大切な人 -
第三章 新しい友達
 半袖を着る機会が増えてきた七月の半ば。

 春には茶色が目立っていた学校の周りの木々も青々とした葉を付け、時々しか吹かない風に揺られながら『ザザザザ…』と季節感を感じさせる音を立てている。


 春の出来事に思いを巡らせる時間もないほど時が流れるのが早く、今日もまたいつもと同じ放課後が始まろうとしていた。


「くー、部活行くぞ」

 智樹から声が掛かるのも最近ではいつもの光景になってきている。

 入学してから約三か月、否が応でもこの高校に慣れ始めてきた二人。

「あぁ」

 相槌を打つように返事をした美利はてきぱきと丁寧に、机の中に入っている教科書を自分のカバンの中へと移動させている。


 結局最初の予定と変わらず美利と智樹はバスケ部へと入部した。

 比較的男子の少ない高校だがバスケットは案外人気があるらしく、そしてある程度のレベルを持っている学校のため女子バスケ部と男子バスケ部が他校と変わらずこの学校にもある。

 男女別とはいえ練習は同じ体育館だ。

 美利と智樹は放課後になると体育館二階にある男女それぞれの更衣室の前まで一緒に移動をしている。

 これまでの三か月で美利には智樹の他に男友達が三人増えた。
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