Letter - 大切な人 -
第四章 何度目かの恋
「疲れた~」
「早く着替えて帰ろう」
「帰りコンビニ付き合ってー」

 部活を終えた後のバスケ部女子更衣室。

 人数のせいもあるが熱気で汗がしばらくおさまりそうにない。

 そそくさと制服に着替えた美利は、
「お先に失礼します」
 と、逃げるように更衣室から出て行った。

 のんびりと疲れを取るように歩く。

 体育館から出て突き当りにある自動販売機でパックのジュースを一個買った。

 ごくごくと音を立てて飲みながらその足で校門へと向かう。

 下駄箱を通り過ぎると何人もの人たちの不揃いな足音が聞こえてきた。
 陸上部はまだ部活を続けているようだ。

 まだまだ空は青々としているが、時間は六時半頃。
 夏ともなるとこの時間でも明るく、そして暑い。

「暑―――…」

 意味もない行動だと分かっていながらも自分の手でぱたぱたと顔をあおいでみる。

 逆に噴出してくる汗に無意味だと悟り、やめる。
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