Letter - 大切な人 -
第七章 噂話
 学校祭が終わり何週間かが過ぎた。
 お祭り気分もどこかへ行き、また前のように普通の学生生活が生徒の体に馴染んできたある日の放課後。

 様々な噂が校内で飛び交っているが、美利たちは全く噂とは縁がない。
 というわけでもなさそうだった。

 何かと単独行動が多い美利だからなのか、美利を中心としたうわさも絶えないようだ。


 今新たに浮上している校内での噂というのが美利と他四人の男子が付き合っている、という内容だ。

 要するに美利は四股をかけていることになる。


 確かに友達として付き合ってはいる。

 噂は飽くまでも噂。
 しかし噂だからこそ内容が深く進んでいくのも否めない。

「ねぇねぇ、栗岡さんってなんだか雰囲気が大人っぽいけど×××とかって経験したことあるの?」

 なんて放送禁止用語の飛び交う質問を浴びせられることも増えてきた。

 最初は苦笑い程度であしらっていたが、最近はどうもそれだけでは諦めない生徒が増えてきた。

 そして教室内ではいつも男子四人と女子一人。

 陰では何をしているのか分からない五人、と認識されている彼らだからこそ余計に噂も絶えず内容もどんどんと加速していくのだろう。
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