スイーツは甘くなくちゃダメでしょ?
くどすぎない生クリームと赤い苺のショートケーキ、濃厚で少しビターなチョコレートケーキ、季節のフルーツをたっぷり使ったフルーツタルト、スッと口の中でとろけるチーズケーキ、たくさんのおいしそうなケーキがこのスイーツ店には並んでいる。

ドアに取り付けられたベルが鳴る。お客さんが来た合図だ。赤いスカーフのついた白い制服を着た林檎舞(りんごまい)は顔を上げ、「いらっしゃいませ〜!」と笑顔で挨拶をした。

舞はスイーツが大好きで、将来はパティシエになるために専門学校に通いながらこのスイーツ店でアルバイトをしている。バイトを始めて半年ほど、このバイトの仕事にも慣れ、常連客の顔も覚えた。

「桃林さん、こんにちは!来てくださってありがとうございます!」

スイーツ店にやって来たのは舞がここでアルバイトを始めた頃からの常連客、桃林周(ももばやしめぐる)だ。ふわふわとした髪に白い肌、男性にしては低めの身長のため、女性だと舞は最初思ってしまったほど可愛らしい見た目をしている。ファッションの専門学校に通っていると言っていて、服装もいつもおしゃれだ。
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