毒林檎令嬢と忠実なる従僕〜悪役はお断りなので冷徹な狼従者を甘やかしたら、独占欲強めに執着溺愛されました〜
 ドレスだって、当時はまだ喪に服したかったからあえて黒にしていただけで、断じて幼女のくせに後ろ暗いことをしていたせいではないのに。
 社交界でコソコソ噂する時に使うにしたって、もっとマシな呼び名があったんじゃ……!?
 なんて、謎の異名にはちょっとムッとしたので、お父様に付いてお茶会やパーティに行く時は、腹いせに林檎料理ばかりを狙って食べている。

 ふっふっふ、間近でむしゃむしゃと林檎を食べる毒林檎令嬢に恐れおののくといい。ふっふっふ!

 その影響もあって、近年の誕生日プレゼントは私の大好物である特大林檎パイと、将来そのパイの原料となってくれる新しい林檎の木だった。
 お茶会やパーティーで林檎料理を食べすぎたせいで、私はいつのまにか根っからの林檎好きになっていたのだ。

 それにしても。前世が庶民の私としては、林檎の木ですら結構驚きの誕生日プレゼントだったのに、今年のプレゼントはあまりにも内容が突飛すぎでは?
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